エコキュートの仕組みを徹底検証
「エコキュート」という名前は、テレビコマーシャルなども含めて、多くの場面で、その名を聞く機会があります。一方で「そもそも、エコキュートって何よ?」という方も多いのではないかと思います。
ここでは、そういう方々のことも考慮した上で、エコキュートとは何者なのかを簡単に解説し、さらに「エコキュートは何故エコなのか?」という疑問を解決すべく、その仕組みにまで迫って行きます。
エコキュートは正式には「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」と言います。
世間的にはエコキュートという名称が広く知られているのですが、
あくまでもエコキュートというのは愛称であり、仮の名前なのです。
恐らく「エコな給湯器」→「エコ給湯」→「エコキュート」という感じでしょうか?(これは個人的な推測であり、事実とは異なる可能性があります)
この「エコキュート」という愛称は、関西電力が商標登録しており、電力会社・給湯器メーカーが一緒になって、この名前で売っていきましょう!ということで、各給湯器メーカーが「エコキュート」として販売しているものです。
確かに、各メーカーがそれぞれ自社で違う名前で売り出すよりも、みんなが統一の名称を使って売り出す方が、その名称が一気に全国に広がりますし、販促効果としては非常に高い効果が見込めます。
そんなわけで、今では「エコキュート」という愛称が広く一般に知られるようになったのです。
基礎中の基礎ではありますが、正式名称からも分かる通り、
「エコキュート=自然冷媒ヒートポンプ給湯器」
ということですので、エコキュートとは給湯器の一種だという事をまずはご理解ください。
エコキュートは給湯器の一種ですが、他の給湯器と何が違うのか?
ここからが本題となります。
ここからはエコキュートを分解して、その実態に迫って行きたいと思います。
とはいっても、実際に機械を分解するのではなく、エコキュートの正式名称を分解して考えてみましょう。
それでは早速ですが、エコキュートの正式名称を覚えていますでしょうか?
そうです。
「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」
です。
この正式名称を分解すると
①「自然冷媒」
②「ヒートポンプ」
③「給湯器」
という3つのキーワードで構成されていることが分かります。
③の給湯器というキーワードに関しては多くを説明する必要はありませんね。
給湯器なのですから、「お湯を沸かす機械」ということです。
冒頭でも説明したとおり、エコキュートは給湯器の一種ですから、当然と言えば当然です。
しかし、「①自然冷媒/②ヒートポンプ」と聞いてもピンとくる人は少ないでしょう。
つまり、この言葉の意味を理解できれば、一気にエコキュートの理解も深まるという事です。
そこで、まずはヒートポンプについて説明していきます。
このヒートポンプを理解しておかなければ、エコキュートの理解は出来ないのではないかというくらい
重要な言葉ですので、しっかりと読んでくださいね。
ヒートポンプとは、日本語に直訳するならば、「熱を汲みあげる」といったところでしょうか。
つまり、簡単に言えば、エコキュートとはヒートポンプが熱を汲みあげて、
その熱でお湯を沸かす給湯器なのです。
しかし、ここで一つの疑問が生じます。
ヒートポンプは一体どこから熱を汲みあげるのでしょうか?
実は、空気中の熱を汲みあげるのです。
エコキュート(下記写真)を見ると、大きなタンクとエアコンの室外機のようなものがセットになっていますよね?
実は、この室外機のようなものが、空気を吸い込んで、大気中に存在する熱を汲みあげているのです。
具体的に、空気の熱でどうやってお湯を沸かすのかは、じっくり解説しますので、ここまでの話を一度整理します。
エコキュートは給湯器の一種であり、給湯器の中でもヒートポンプを使って、空気中の熱を利用してお湯を沸かす給湯器である。
エコキュートのヒートポンプとは、空気の熱でお湯を沸かすと言いますが、このヒートポンプ。
一体何者なのでしょうか?
次にヒートポンプの仕組みに迫ってみましょう。
ヒートポンプは、空気中の熱を集めて、その熱でお湯を沸かします。
でも、普通に考えたところで、空気中の熱を集めるといっても、
空気には、とてもお湯が沸くほどの熱さはないですよね?
地球温暖化といっても、そんなに空気は熱くないですし、空気がそんなに熱かったら、生命は絶滅でしょうか・・・
しかし、現実にヒートポンプは空気でお湯を沸かします。
その原理は空気の圧縮です。
一番分かりやすいのは、圧力鍋でしょうか。
密閉した空間の中で、空気の圧力を高める事で、短時間で高温を作り出しているのが圧力鍋です。
同様に、ヒートポンプは空気中の熱を微量ながらも集めて、それを一気に圧縮することで、その空気の温度を上げているのです。
つまり、エコキュートが空気の熱でお湯を沸かすというのは、正確に表現するならば、ヒートポンプが、空気中の熱を汲み上げて、その空気を圧縮することで、空気の熱をさらに上昇させて、その熱でお湯を沸かすという事なのです。
これが、ヒートポンプの大きな仕組みです。
いかがですか?ご理解いただけましたでしょうか?
ここまで理解いただけたら、次はもう少し細かく、空気の熱を水に伝える仕組みなどを説明していきます。
ここまでお読みいただいたあなたは、ヒートポンプを使って空気の熱を汲みあげ、その空気を圧縮することでさらに空気の温度を高めて、お湯を沸かすということを理解していただいたと思います。
では、具体的に空気の熱をどうやって水に伝えるのかを今から解説していきます。
ここで登場するのが「冷媒」というものです。
冒頭でエコキュートを分解したときに書きましたが、エコキュートは
①自然冷媒
②ヒートポンプ
③給湯器
という3つのキーワードで構成されています。
ここまでで給湯器とヒートポンプについて説明してきました。
そして、いよいよ最後に登場する「冷媒」がエコキュートの決め手となります。
この「冷媒」がどんな働きをするのかといいますと、ヒートポンプで集めた空気中の熱を、冷媒が一旦預かって、それを圧縮機で熱を高温にしたのち、水に熱を渡す役割を果たしています。
分かりやすく言えば、熱の配達屋さんですね。しかも、ただ配達するのではなく、温度を上げて配達する、とってもサービス満点の配達屋さんなのです。
この冷媒。いったい、何者なのでしょう?
昔は、「フロン」というものが主にその役割を果たしていました。
一定の世代の人々は、オゾンホール破壊といったニュースとともに悪者として吊るしあげられたフロンの名前を聞いた覚えがあるでしょう。
話を戻します。
冷媒の正体は、「二酸化炭素」です。
環境に悪いフロンにとって代わって現れたのが二酸化炭素なのです。
二酸化炭素というと、温暖化といった悪いイメージがつきものですが、うまく利用してあげることで、すぐれた役割を果たしてくれる正義の味方なのです。
この二酸化炭素が、空気中の熱を水に伝えるというエコキュートの大きな役割を果たしてくれるのです。
少々長くなってきましたので、ここで一度話を整理します。
エコキュートとは、
ヒートポンプで集めた空気中の熱を、二酸化炭素が受け取り、
その熱をもった二酸化炭素を圧縮することで高温化します。
その高温化した二酸化炭素は、さらに熱を水に渡して、
お湯が作られるという給湯器です。
いかがですか?
ここまで来ると、ずいぶんとエコキュートについて理解が深まってきたのではないでしょうか?
次は二酸化炭素が熱をどうやって受け渡しするのか、さらに具体的な仕組みの解説をしていきます。
ここまでの解説で、
ヒートポンプとはヒートポンプで集めた空気中の熱を、二酸化炭素が受け取り、
その熱をもった二酸化炭素を圧縮することで高温化します。
その高温化した二酸化炭素は、さらに熱を水に渡して、お湯が作られるという給湯器です。
ということまでをお伝えしました。
ここでは、エコキュートでお湯を沸かすために必要不可欠な、この熱を受け渡しする仕組みについて
解説していきます。
結論から行きますね。
この熱の受け渡しを行う場所には「熱交換器」というものが存在します。
その名の通り、エコキュートの中で、熱を交換する機器です。
具体的に言いますと、まず大気中の熱を冷媒(CO2)に渡す(交換する)空気熱交換器と、
冷媒(CO2)の熱を水に渡す(交換する)水熱交換器の二つが存在します。
エコキュートがお湯を沸かす流れで見ると、
①ヒートポンプで大気中の熱を集める
②集まった熱を空気熱交換器で冷媒へ渡す
③熱を受取った冷媒は、圧縮されて高温になる
④高温化された冷媒は水熱交換器で水に熱を渡してお湯を沸かす
⑤水に熱を渡した冷媒は低温になり、空気熱交換器へ戻る
という事になります。
あとは、ひたすら①~⑤のサイクルが繰り返されて継続してお湯を沸かし続けるという事なのです。
そして、このサイクルに熱交換器が上手く熱を受け渡す秘密が隠されています。
そもそも熱交換器とは、二つの物質間において熱を移動させる給湯設備の重要な役割を持つ機器です。
そして、熱交換器によって効率良く熱を受け渡すためには、とてもとても重要な条件があります。
それは、熱を交換する二つの物質の温度差が大きい事です。
温度差が大きければ大きいほど、熱交換器で熱の移動が沢山行われます。
想像していただければ分かると思いますが、同じ温度同士だと熱は移動しません。
逆に温度差があればある程、熱は伝わりやすくなるのです。
では、ここでエコキュートのサイクルを思い出して下さい。
ヒートポンプで集められた空気中の熱は空気熱交換器へ運ばれます。
では、この空気熱交換器の中の冷媒(CO2)の温度はどうなっているでしょうか???
そうなんです。空気熱交換器に存在する冷媒(CO2)は、水熱交換器で冷やされて戻ってきた低温の状態にあるのです。
だから、空気の熱との温度差が生まれ、上手く熱を移動させる事が出来るのです。
そして、熱を持った冷媒(CO2)は圧縮され高温になるので、次の水熱交換器では冷たい水道水に熱をスムーズに移動させる事が出来るのです!!
いや~、考えた人は流石に頭がいいですよね!こうやって、冷媒を上手くサイクルさせるから、冷媒を冷やすエネルギーも不要になりますし、エコになるんです。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
これであなたもエコキュート博士(?)です。万が一子供に聞かれても、胸を張ってエコキュートの仕組みを解説してあげる事が出来ると思います。
関連記事
エコキュートTOP
分かったつもりで分からない電気温水器とエコキュートの違い
プロが教える!エコキュートの正しい選び方
あなたの命を助けてくれる。エコキュート非常用取水栓の取扱方法
ここで見つかる!エコキュート製品一覧
安心のお付き合い!エコキュート無料定期点検のご案内
お役に立ちましたでしょうか?
この記事が役に立ったと思われたら、どうぞ気軽に「シェア」・「イイね」してください。
執筆担当者のモチベーションに繋がります!!